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究極の水中写真ギア・イノンのすべてを語る
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光接続S-TTL自動調光システム

~S-TTLを活用するためのハウジング選び~


3_Z240発光STTLダイヤル


 オート専用お手軽デジタルカメラから、デジタル一眼レフまで、外部ストロボでの精度の高いTTLオート撮影を可能にした「光接続S-TTL自動調光システム」。INONが開発したこのS-TTL自動調光ストロボ「D-2000」「Z-240」は、デジタルカメラ本体の内蔵フラッシュの発光を、光ファイバによって外部ストロボまで伝達するだけで、容易に適正露出の発光量が得られ、カメラメーカーを問わず作動する汎用性の高いシステムだ。
 INON D-2000ストロボやZ-240ストロボを、S-TTLオートで発光させるには、デジタルカメラに内蔵フラッシュが装備されていることが第1条件である。内蔵フラッシュのないキヤノンEOS 5DやニコンD2Xでは、基本的には、Z-240に電気接続して、外部オートかマニュアルで調光することになる。陸上用の純正ストロボのハウジングを作り、その発光信号を光ファイバで伝達してS-TTLストロボを使用する方法もあるが、かなりの装備になってしまい、現実的ではないだろう。内蔵フラッシュを装備したデジタルカメラでも、内蔵フラッシュをポップアップできない構造のハウジングでは、残念ながらS-TTLは使用できない。これからデジタルカメラとハウジングを購入する方は、汎用性が高く手軽にTTLオート撮影ができる「光接続S-TTL自動調光システム」が使用できるのかを、チェック項目に入れることをおすすめしたい。


●光接続S-TTL自動調光の仕組み

 INON D-2000ストロボやZ-240ストロボに搭載されている「光接続S-TTL自動調光システム」は、デジタルカメラの内蔵フラッシュの発光をTTL信号に見立てて、外部ストロボを同調させるINON独自の方式だ。内蔵フラッシュの発光を光ファイバで伝達するだけの単純な機構なため、ハウジングの製作コストを下げ、電気コネクタからの水没の危険性も無くなる。
 デジカメの内蔵フラッシュは、露出計測用の微弱発光(プリ発光)の後、撮影用の本発光を行う。プリ発光は、デジタルカメラの機種により、1回のものと2回以上のものがある。その内蔵フラッシュの発光を光ファイバでS-TTLストロボに伝達し、S-TTLストロボが被写体に向けてプリ発光と本発光を行う。


3_STTL発光30D内蔵フラッシュ光っている
デジタルカメラの内蔵フラッシュの発光信号を光ファイバで伝達し、S-TTLストロボがプリ発光と本発光を行う




●S-TTLストロボで撮影を楽しむためのINONの取り組み

 INONは、S-TTLストロボとハウジングを光ファイバで接続するための「光Dケーブル・キャップセット」を、対応する“カメラ機種”及び“ハウジング機種”との組み合せごとに専用設計している。「光Dケーブル・キャップセット」には、内蔵フラッシュの光を確実に拾い、光ファイバに伝えるミラーが組み込まれているが、S-TTLが最適に機能するように内蔵フラッシュの位置とミラーの位置を厳密に設計している。また、キヤノンEOS 30D/20D対応の「X-2ハウジング」には、光ファイバ取り付け部に内蔵フラッシュの光を確実に導くミラーが装備されている。INONの対応製品は、安定してS-TTL調光が効くよう設計されている。
ミラー光コネクタ光っている
X-2ハウジング内部に設置されているミラーによりハウジング上方に光を確実に伝達している

3_ADカガミ表3_ADカガミ裏

各コンパクトデジカメ用に専用設計された光Dケーブル・キャップセット




●他社ハウジングでS-TTL自動調光が安定しない場合

 S-TTL調光は、デジタルカメラの内蔵フラッシュを信号として使うため、ハウジング側に複雑な電子回路は必要ない。他社ハウジングでも、内蔵フラッシュの光を拾えさえすれば、S-TTLは問題なく作動している。ただ、一部のハウジングで、精度が悪い状態でしかS-TTLが使えないケースが出ている。例えば、
●陸上でTTLが効いているのに、水中では著しく精度が悪い
●カメラの絞りによってTTL調光精度にばらつきがある
●フル発光となり、極端に露出オーバーになる


 これらの不具合は、内蔵フラッシュの発光がS-TTLストロボのセンサー部にしっかりと伝えられていないことがひとつの原因となっている。デジタルカメラの内蔵フラッシュの発光を、特殊な計測器で測定すると、下のような波形となる。ある小型コンパクトデジカメの内蔵フラッシュは、プリ発光の閃光時間が、20/100万(秒)。また、あるデジタル一眼レフの、プリ発光の閃光時間は、50/100万(秒)であった。本発光の閃光時間は、20/100万(秒)から1000/100万(秒)であった。
オシロ


 S-TTLストロボは、この閃光をセンサーで受けて制御回路が適正露出の光量を計算し、本発光を行う。ここで重要なのは、内蔵フラッシュ発光のスタートとストップがはっきりと伝達されているかである。光量がゼロからHighレベルへ立ち上がる時が発光のスタート信号となり、なだらかな光量低下の途中の急峻な降下が発光ストップの信号となっている。S-TTL自動調光の制度を保つためには、内蔵フラッシュの「ON→OFF→ON→OFF」がはっきりと伝達される必要がある。
3_波形TTLOK
内蔵フラッシュ光が正常に伝わった場合


 何らかの不具合で、内蔵フラッシュの光量が低下して、急峻に降下する時の発光ストップ信号をがあいまいになった場合、S-TTLストロボに伝達される内蔵フラッシュの信号は「ON→OFF→ON→?」になる。結果、S-TTLストロボは、ストップのタイミングを判別することができず、調光の精度が落ちたり、時にはフル発光してしまう。
3_波形TTLNG
内蔵フラッシュ光の光量が落ちて伝わった場合



 S-TTL自動調光システムの精度のよさを発揮させるには、内蔵フラッシュの閃光を効率よく光ファイバに伝達することが重要である。S-TTLストロボを使用して、簡単確実にTTLオート撮影を楽しむために、次のことを参考にハウジングを選びや、対処をしてほしい。


1.内蔵フラッシュ光を、光ファイバ切断面に垂直に入射させる

 光ファイバは、光を通すコアと、コアを取り囲み光を反射させるクラッドからなる二重構造を持つ透明な繊維である。入射角の浅い光はコアとクラッドの境界面で反射が繰り返され、光がファイバ内を進んで行く。入射角が大きい場合は、クラッドの境界面で反射することができず、クラッド内に光が進入し、拡散してしまう。INONが採用している光ファイバーは、入射角の限界が約30度となっている。
 入射角が浅い場合でも、実際には境界面での反射は100%ではなく、光の損失が発生する。反射の回数が多いほど、その損失も大きくなる。光量の損失をできるだけ少なくするため、光ファイバ切断面に垂直に入射させるのが望ましい。
3_光ファイバ断面図




 内蔵フラッシュの発光をより多く伝達するためには、内蔵ストロボ光を光ファイバ断面に、できるだけ垂直に入射させることが望ましい。ハウジングの設計上、デジタルカメラの内蔵フラッシュ正面に光ファイバを取り付けることが難しい場合は、ハウジングにミラー(板金等でも可)を設置し、内蔵ストロボ光を反射させることで任意の場所に光ファイバを取り付けることができる。

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光ファイバを内蔵フラッシュに正面に配置できない場合はミラーを使う




2.防水レンズ部(窓部)は、光ファイバ断面に対して平行に配置する

 内蔵フラッシュの光をハウジングの外部に放射する防水レンズ部(窓部)は、光ファイバと垂直に配置してあるのが望ましい。光ファイバと防水レンズ部(窓部)が斜めになっている場合、その部分が反射板の役割をしてしまい、実際に光ファイバに伝達される内蔵フラッシュの発光量が、その反射分だけ少なくなってしまう。また、防水レンズ部の素材についても、半透明もしくは乳白色な素材は、内蔵フラッシュの光量が減衰するため、透明かつ表面が光沢面仕上げが望ましい。

3_33_4



3.内蔵フラッシュの中央部分に光ファイバを配置させる

 カメラの内蔵フラッシュの発光部は、中央部に比べて外縁部はわずかながら光量が低下する。フル発光に近い光量では、中央部と外縁部の光量差はそれほどでもないが、絞り開放撮影など、内蔵フラッシュが微小発光する場合は、光量差の影響が大きくなる。光ファイバの取り付け位置が、内蔵フラッシュの外縁部になった場合、TTL調光精度が著しく低下しる場合があるため、光ファイバは中央部付近に配置させる必要がある。光ファイバが、カメラの内蔵フラッシュの発光部から離れたところに配置されているのは、TTL調光ができなくなる可能性が高い。

3_53_6



4.光ファイバは、抜けないようにしっかりと固定する

 光ファイバがハウジング防水レンズ部より離れると、離れた分だけ光が減衰し、内蔵フラッシュから光ファイバに入射する光が弱まる。このため、光ファイバを最短距離でしっかりと固定出来るようにし、抜けないようにする必要がある。また、ダイビング中に光ファイバを引っ掛けて抜け出しているのに気付かず撮影していることもある。時々、光ファイバが奥まで入っているか確認したほうがよい。
3_73_8



5.ハウジング内部と外部の2つの光ファイバの芯がずれないようにする

 ハウジング内部に光ファイバを設置して内蔵フラッシュの光を外部に導く場合、ハウジング内部に設置した光ファイバと、ハウジング外部の光ファイバの芯がずれないように設置する必要がある。特に、ハウジング外部の光ファイバを固定する機構にガタがある場合や、元々固定部分に設計上のズレがある場合には、内蔵フラッシュの光を確実に伝達できないことがある。INONで採用している光ファイバの線径は、1.1mmと大変細い為、光ファイバの僅かな中心のズレも、大きな調光精度不良要因となってしまう。
 応急的な対処方法として、光ファイバの被覆の周りにテープ等を巻き、外径を大きくすることで芯を合せることが出来る。ただし、この対処方法だと、光ファイバが抜けやすいので、使用時は光ファイバが奥まで入っているか確認しながら撮影する必要がある。


3_93_10



6. S-TTL自動調光精度を上げるための対策

 下図のように、内蔵フラッシュの照射軸と光ファイバの軸があってないハウジングの場合、内蔵フラッシュの発光はハウジングの内壁に当たり、減衰しまう。直接光ファイバには伝達されないため、TTL調光精度は著しく落ちてしまうだけでなく、状況によっては調光せずにフル発光してしまう。
3_11


このような場合、次のような対策で改善することができる。
●ハウジング内側壁面にアルミホイル等を貼付け、乱反射する内蔵フラッシュ光量を増やす。その結果光ファイバに伝達する光量を増やす。
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●ハウジング内に、内蔵フラッシュ光を正しく光ファイバに導く為の反射ミラーを設置する。
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アルミホイルをハウジング内壁に貼り付けるという方法は、内蔵フラッシュの発光を直接光ファイバに伝えるといった正攻法ではなく、乱反射量を増やすことで、結果的に光ファイバに伝えられる光量が増えている、といった応急処置的な対策にしかすぎない。内部に反射ミラーを設置して内蔵ストロボの発光を正しく光ファイバに導く対策が確実といえる。



 最後に、ごく一部のハウジングが、残念ながら、構造的な不具合により内蔵フラッシュの光を効率よく伝達できず、S-TTL調光が安定しなくなっている。上記6つの対処法を参考に、少しでも感度を上げたTTLオート撮影で水中写真を楽しんで頂きたい。


テーマ:水中写真 - ジャンル:写真

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